言わずと知れた『ゴルゴ13』、その連載50周年を祝した展示が川崎市民ミュージアムありました。そこでさいとうプロの『武器庫』に収められ門外不出という劇用銃が特別に展示されておりました。
私自身はガンについては守備範囲外なのですが、日頃お客様とお話をするに、バイク乗りにガンマニアが少なくない、という印象ですので、ここにご紹介いたしたい次第です。(兄弟をしてオートバイ&ガン・クレイジーの「切り込み役」にて「ご意見番」、Younger T氏にマニア的視点での解説をいただきましたので、併せてお楽しみください)
1930s Walther Kampfpistole
カンプピストル
初手からマニアックなガンです。私は存在自体知りませんでした。旧ドイツ軍が使用している画像をご紹介してお茶を濁しておきます。
Younger T氏による解説元々は信号拳銃でした。 それが戦場では手榴弾を取り付けて即席擲弾筒として使用されたことから「そんな危ないことすんじゃねーよ、ちゃんと専用の銃造るからさ、信号拳銃と間違えないように印付けとくよ」とZの文字が入れられました。まぁ擲弾照尺や分厚い銃床のパッドからして威力の高い弾を撃つんだなぁという様相ですね。 |
1959 ArmaLite AR-7
AR-7
以下のように銃床にすべてのパーツがコンパクトに収納できるというスグレモノ。不時着したパイロットの護身用として開発されたとか。
いかにも秘密道具的な存在感から、60年代の007のコケオドシ・アイテムとして多用されていた時期がありました。
Younger T氏による解説22口径の弾を使用するライフルで、その耐衝撃性と耐水性(分解して銃床に機関部を収納しておけば水に浮く!)、軽量で携行性が高いことから、お手軽ハンティングなどのアウトドアシーンでも活躍します…… まぁ22口径は命中精度が高い弾としてその道のプロが愛用することでも知られています。この銃、携行性が良くて防水なんて言ったら、どんな人達がどういう使い方をしてたのか想像を逞しくしてしまいますねw |
1896 Mauser C96 / 1970 Ingram Model 10
モーゼル C96
「モーゼル C96」、子供の時分は「モーゼル・ミリタリー」と呼んでいましたね。形状がユニークなせいか、日本ではマンガやゲームにやたら出てきており、名前とか形だけは非マニアにも有名な銃でしょう。しかし1896(明治29)年製と、当時も今も、そこまで古い銃とは思ってもみませんでした。むしろ、モダーンにすら感じていたから、おもしろいものです。
第2次大戦中のナチス親衛隊。銃床を着けて使用しています。
中国(清朝)では、ドイツ製C96を大量に輸入した上、そのコピーも現地生産していたようで、市中に溢れかえっていたそうです。馬賊ですら装備しているくらいですから・・・
八路軍(中国共産党軍)の女性兵士。C96をライフルのように扱っているのが印象的です。さらにもう一丁、小脇に下げているのが見られます。よほど余っていたのでしょう。
「余っている」感がありありな画像。オーストリア・ハンガリー帝国軍の航空隊では10連装で使っています(笑)
旧日本軍は、中国軍から鹵獲した大量のC96を装備品として兵士に供給していたそうです。この頃から日本人にも身近な銃だったのは意外な事実ではないでしょうか。
スターウォーズでハンソロが振り回す「ブラスター」なる光線銃はモーゼルC96のカスタムなのはマニアにはよく知られた話です。
Younger T氏による解説画像はred nineと呼ばれる9mm口径(オリジナルは7.63x25mm)。
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モーゼルC96は、本国ドイツにおいてよりも中国できわめて高い評価を受けた銃でした。総生産数の30%にあたる30万丁以上が中国に輸出された上に、100万丁以上のコピーが中国で作られたのです。
中国の運命を大きく変えた「天下第一槍」1927(昭和2)年8月1日、中国共産党は江西省南昌で国民党政府に対し武装蜂起を起こします(南昌蜂起)。暴動を率いたのは「朱徳」で、彼の愛銃がボロ・モーゼル(ソ連向けの短銃身仕様・後述)でした。 シリアルナンバー「592032」、弾倉側面に「南昌暴動紀念朱徳自用」と刻印された朱徳のC96は、現在、中国人民革命軍事博物館で最も重要な文化財として恭しくも展示されています。(朱徳は後に八路軍総司令、人民解放軍総司令を務め、南昌蜂起を起こした8月1日は建軍記念日として祝日になっています)
●毛瑟槍 (マオスェ゛ァチィァン) 「毛瑟」は「Mauser」の音に漢字にあてたもの。愛称というより中国語表記ですね。ちなみに「DUCATI」は「杜卡迪(ドゥカーディ)」です。 ●自来得手槍(ズーライデイショウチィァン) 「自来得手」は「自動装填」の意。政府文書や工業資料中に使用されており、いわば公式名称と言えましょう。 ●駁殻槍 (ブォチュェチィァン) / 「匣子槍」 (シァズーチィァン) / 「盒子砲」 (ハーヅゥパオ) 「駁殻」は「box」の音に漢字を当てたもの。「匣子」、「盒子」は「箱」を意味する言葉。いずれも「箱銃(箱砲)」という意味です。これらは、銃床に収められたモーゼルのユニークな形を見て付けられた愛称と言われています。 中国製コピー中国でコピーされたC96は「11種」、M712は「5種」といわれ、その総生産は100万丁以上と言われています。コピーは1918(大正7)年から始まり、その工場はあまた存在したようですが、国家が統制する以外にも、群雄割拠する「軍閥」らが各々の判断で生産していたようです。そのうち特記に値する4工場を紹介いたします。 ●四川(スーチュァン)兵工廠 ●漢陽(ハンヤン)兵工廠
山西工場(太原工場から改称)では、先に生産していたトンプソン短機関銃と弾薬の共通化を図るため、45口径のモーゼルも独自開発しています。生産開始の1928(昭和3)年が民国17年にあたることにより、「十七式」と命名されました。1932年頃までに8,000丁ほどが作られ、銃の左側面に「壹柒式」、右側面に「民国拾捌年晋造」と刻印されています。
7.63x25mm モーゼル、 11.5×22.8mm .45ACP ●80式自動拳銃(80式衝鋒手槍) 中国人民解放軍が1980年に制式採用。モーゼルによほど思い入れがあるのでしょう、内部機構は独自設計であるにもかかわらず、見た目をM712に寄せています。弾薬は 7.62x25mmトカレフ弾を使用。 もうひとつのモーゼル・コピー大国、スペインモーゼルが牛耳っていた中国の武器市場にスペインの銃器メーカーは、そのコピーで切り込みを掛けました。スペイン製コピーは単なるデッド・コピーではなく、オリジナルの弱点などに独自の改良を加えたものであったことは特筆に値します。 ●アストラ・ウンセタ 1927年に世に出たModel 900(半自動式)は好評を博し、
●ベイステギ・エルマーノス MM31の初期型は半自動式で、後期型は半・全自動選択式なっています。 MM34はMM31の弾倉を脱着式にした他、銃把内部に機械式減速装置を付け、連射速度を3段階で調整できるようにしたものです。 M34はエウロヒオ・アロステギ社が販売していたので同社製と思われがちですが、ベイステギ・エルマーノス社が作ったものでした。アズールは「青」の意で、ガンブルー仕上げであることを誇らしげに名前としています。 1936(昭和11)年にスペイン内戦が勃発するとスペイン製コピーは中国市場から急速に姿を消すことになります。 |
C96のバリエーション●撃鉄(ハンマー)形状による世代分け
●1895 プロトタイプ ●1896-97 最初期モデル
コーンハンマー・コンパクト:短銃身、6連弾倉モデルとし、小型化を狙ったモデル
●1896-98 カービン ●1899 フラットサイド ●1900 オフィサーズ ●1914 レシーバー強化型 ●1916 レッド9 ●M1920 リワーク ●1920 ポリス ●1921 ボロ・モーゼル
●M1930 ユニバーサル・セイフティ ●1932 M712 ●1930s M714
当初C96の全自動化は、社内の「ヨセフ・ニクル」が担当したのですが、欠陥問題を鎮静化するために再設計を行ったのは社外の「カール・ヴェスティンガー」でした。(ほぼ同じ形状のM712とM713は、選択レバーの形状で判別できます) ●9 OBI (Oyster Bay Industries)
「MOD-1」では、銃身から弾倉にかかる個所に前側銃把を溶接で追加しています。 「MOD-2」では、MOD-1をベースに前後の銃把の形状を変更した上、オリジナルの脱着可能な木製銃床に替えて、金属製のT型銃床を溶接で取り付けています。 |
イングラム M10
M10は、後で紹介するM16と並んできわめてアメリカ的な小銃だと思われます。名だたるアクション俳優らがスクリーンの中でM10を振り回しています。
Younger T氏による解説45口径をフルオートで吐き出すサブマシンガン、サウンドサプレッサーやエクステンションバレルなどのオプション部品もありますよ。日本のトイガンフリークには9mm口径のM11の方が馴染み深いでしょうか?
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1955 Smith and Wesson Model 19 2.5 inch / 1938 Walther P38 Military / 1983 Glock 17
S&W M19 2.5 inch
2.5インチと銃身が短かったり、USの警察で御用達とされているなど地味目な印象ゆえ見くびってしまいがちなんですが、「.357マグナム弾」を装填できると聞けば、思わず身を正したくなるものです。デビュー当初は「コンバットマグナム」と、いかつい名前が付けられていました。銃身が4インチのものは、ルパン三世の相棒、「次元大介」の愛銃とされています。
Younger T氏による解説出ました! M19! この銃で回転レシーブの如く地面を転がりながら独特のフォームで敵を倒すゴルゴ撃ち(←勝手に命名しましたw)は有名ですよね! しかも発射音がズキューンズキューン、ドウッドウッなど、さいとうたかを先生独特のセンスが光ります。また劇中でのゴルゴの射撃フォームを是非真似してみてください、わき腹が攣ること請け合いですw |
ワルサー P38 ミリタリー
「ルパン三世」の愛銃ということで、日本で一番有名な銃といって過言ではないでしょう。「P38」と上で紹介した「モーゼル C96」、それに「ルガー P08」を加え、ドイツ3大拳銃と呼ぶむきもあるそうです。
ただ、ナチス御用達の銃だったせいか、ユダヤ資本のハリウッド映画とは相性は悪いようで、悪役が持つ銃、といった位置づけに過ぎない印象です。以下の「007」は英国映画で、ナポレオン・ソロはNBCのTVシリーズ。「ダーティハリー」では凶悪犯スコーピオンが使い、「インディ・ジョーンズ」ではナチス兵士から奪ったという設定です。
Younger T氏による解説ルパン三世で有名ですね、この銃。世界大戦後、さっさと引退するかと思いきやP1の名称で暫く使い続けられました。9x19mm パラベラム弾の採用、デコッキングレバー実装、コッキングインジケーター実装など現代的装備を備えていた銃でもあります。 |
ゲシュタポは短銃身のP38を使っていたのか?
彼らが使用したとする「P38の短銃身モデル」が「P38ゲシュタポ」と称され、USのオークションなどに掛けられることがあります。しかし現在、この「P38ゲシュタポ」が本当に存在していたのか疑われています。というのも、現在残されたワルサーの公式文書に「P38の短銃身モデル」の記載はなく、それを使用するゲシュタポの写真も残されていないからです。 どうやら「P38ゲシュタポ」の存在は、アメリカ・ジョージア州の「フォートべニング歩兵博物館」(Fort Benning Infantry Museum)に収蔵品があることを根拠とするようなのですが、それすら真偽はおろか存在すら確かではありません。(長銃身モデルは、たしかに収蔵されている/いたことは確認できたのですが・・・)
銃身長が統一されておらず・・・
市中に出回っている「P38ゲシュタポ」なる銃は、希少性を出すために戦後に改造されたものがほとんどなのではないでしょうか。 |
1974年のルパン三世の実写映画で「目黒祐樹」演じるルパンの愛銃は、同じワルサーでも、なぜだか「PPK」でした。それもモデルガン丸出しの金メッキ仕様!!
1971(昭和46)年からの銃刀法規制で、金属製モデルガンは黄色か白に塗ることを義務付けられたのですが、モデルガン業界は苦肉の策として金メッキを施し、お上には黄色に塗ったことにしてもらったのでした。
その規制を知らない世代なのでしょう、この金メッキ仕様PPKをして、小道具までオシャレに徹している、というレビューを書いている人がおられます(笑)私は怖いもの見たさでビデオを借りたことがあるのですが、最後まで観続ける忍耐は持ち合わせておりませんでした。
ルパンの実写化は、どう作っても非難、批判にさらされることが分かっていながら、再び挑んだ意欲作(問題作?)が2014年版。小栗旬主演でビジュアル的にはなかなか、と言ったら漫画、アニメのファンに怒られますかね?
まあ、実写化という点ではゴルゴはルパンを笑っていられません。
1973年版は、高倉健主演でオール海外ロケというビッグバジェット映画!!高倉ゴルゴは、そこそこ当たったのでしょうか、1977年には千葉真一主演でもう1本作られています。ゴルゴのあの髪型はパンチパーマという解釈。70年代に猛威を振るったブルース・リーを始めとする香港映画ブームに絡む形で日本・香港合作。
ちなみに1977年は漫画の実写映画化のビンテージ・イヤー(笑)で、「嗚呼!!花の応援団 」、「空手バカ一代」、「はだしのゲン」、「野球狂の詩」、「ドカベン」、「ブラック・ジャック」、「俺の空」、「ドーベルマン刑事 」、「サーキットの狼」、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」と珍作、奇作が目白押しです。
グロック 17
スライドこそ金属製でありましたが、フレームやマガジンといった主要部品は強化プラスチック製ということで、「プラスチック・ガン」として、その名を世界に馳せました。
装弾数の多さゆえか、USの警察で大人気の銃ですが、なんと日本の警視庁でも採用されております。要人警護の「SP」が「17」(9mm口径・装弾数17発)を、特殊部隊の「SAT」が17のコンパクトモデル「19」(9mm口径・装弾数15発)を装備しているとのこと。
グロック17が世に出た当時、X線荷物検査に引っかからないという噂が広まりました。(スライドほか金属パーツはスキャンされるが,パっと見で銃と分かりにくいというのは事実)グロック社は、「ハイジャッカー御用達」という汚名を返上すべく、プラスチック原材料に造影剤を混ぜるようになりました。
Younger T氏による解説当初のっぺりとした外観で美しくないと評判でしたが、その実用性から信頼とシェアを勝ち取っていった銃です。その一因に激発システムがあります。撃鉄が露出していると幾つかの問題が懸念されますが、それを1900年初頭に発表されたのと同様のストライカー方式でクリアしたという中身的には古くて新しい銃なのです。そのストライカー方式ですが、ぶっちゃけ銀玉鉄砲の発射機構と大差ありません。もっときちんと知りたい向きにはマルシン工業からM1910のモデルガンが発売されていますので、是非キットで組み上げてみて下さい。 |
実のところ、世界最初のプラスチック・フレームを持つ銃は、グロックではありません。1970年、西ドイツの「H&K」社から発売された「VP70」がそれです。
VP70は発展途上国に売り込みをかけるべく、簡素ゆえ、信頼性が高く、廉価なことを売りにしていましたが、そのコンセプトは、ナチス・ドイツ時代の「国民銃(Volks Pistole)」構想まで遡ることができます。
第二次大戦末期、ドイツ軍は、物資が不足し設備も疲弊した条件下でも量産可能な「国民銃」の開発を進めていましたが、形になることはありませんでした。その構想は戦後、「H&K」社に引き継がれたのです。
「VP70」におけるプラスチックの使用は、当然、国民銃構想時には無かったアイデアですが、錆に強くしメンテナンスフリー性を高める狙いがありました。
残念ながらVP70は途上国への売り込みに失敗し、1983年にグロック17が登場、瞬く間に市場を席巻する中、世界初のプラスチック銃はその栄誉に浴することなく、1988年、静かにその命を閉じたのでした。
Younger T氏による解説バイオハザードでお世話になった方もいらっしゃるかと思います。この銃も着脱式銃床が用意されており、3点射が可能です。
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1963~ M16 Rifle Series
M16 フルスクラッチ
M16 / M16 スコープ付
M16 ランチャー付 / M16A2 カスタム
M16が登場する映画はベトナム戦争ものが大半です。戦時中に作られた「グリーンベレー」は米軍の軍事介入を肯定するプロパガンダ映画でしたが、米軍のベトナム撤退以後に作られた映画は(「地獄の黙示録」ですら)反戦、厭戦意識を内省的に表現したものがほとんどという印象です。
ゴルゴの愛銃 M16 の変遷
ゴルゴが狙撃任務に愛用するM16は突撃銃であり、5.56mmと比較的小口径(軽い弾)であること、オートマチックゆえ動作精度が甘いこと、から狙撃用途には適していない、と揶揄され続けてきました。それでもゴルゴがM16にこだわる理由は、「謎」(笑)とされていました。
ボルトアクションのM70を制式採用していました。
その理由は、漫画だから・・・では身も蓋もありません。
事の真相は・・・さいとう・プロのスタッフは連載開始前の準備で、著名な軍事系イラストレーターで、当時、モデルガンメーカーMGCの宣伝部員だった上田信氏に、主人公が使う銃の選定を依頼したのですが、上田氏は何の考えもなく、おそらく見映えが良いくらいの理由でM16を薦めた、とのこと。
ゴルゴ13の評価がここまで高まってしまうと、そういった初期の設定の「甘さ」を放置しておくわけにはいかなくなり、その理由を「後付け」で公表せざるをえなくなるに至ります。
それが、第423話「激突! AK-100 vs M-16」(2002年)と世間では捉えられています。
一介の狙撃兵からロシアの兵器開発局の責任者まで登りつめたマカロフ・グロスキー大佐は、ゴルゴの存在によってM16が過大評価されていると考えていました。
自国のAK-100を世界に君臨させることで強国ロシアの復活を目論むグロスキーは、M16の信用を失墜させるにはゴルゴを葬り去ることが早道と、ゴルゴを罠にかけることを企てます。
世界の武器勢力図を書き換えるかもしれない闘いがアラル海で行われる、との情報が世界中を駆け巡ります。
同じころ、AK-100の産みの親である「カラジニコフ」(カラシニコフで非ず)は、ゴルゴがM16を使い続ける理由を知りたがっていました。
アラル海での戦闘を知ったカラジニコフは、その理由を知る機会になるかもしれないと現地に向かうことを決めます。
アラル海までの道中、カラジニコフは、M16の開発者ストーラ(ストーナーで非ず)と極秘裏に面談した時のことを思い出していました。(M16はゴルゴの「戦訓」によって改良されてきた事実が明らかにされます)
ちなみに、「実在の」ミハイル・カラシニコフとユージン・ストーナーは、1990年、秘密裏ではなく公の場で面会しています。
砂嵐が吹きすさび、ひどい塩害に悩まされているアラル海は、ちょっとした埃の侵入でクリーニングが必要になるM16には不利なロケーションでした。
グロスキーがアラル海を闘いの場に選んだのは、AK-100のメンテナンスフリー性が最大限に活かせる、と踏んだからでした。
ゴルゴのM16が使えなくなったと推測される頃合いに攻勢を仕掛けるも・・・
なんとゴルゴはタイヤ内の空気を使ってM16をクリーニングを行っていたのでした!!(立膝でメンテナンスする姿は凄腕スナイパーというより、熟練整備工の風格が漂っています・・・)
グロスキーの部隊が返り討ちに会い全滅した後、カラジニコフが現れて「なぜ致命的な欠陥のあるM16を使うのか・・・教えてくれっ!!」とゴルゴに迫ります。
ゴルゴは、すでに要メンテ状態となってしまったM16を投げ捨て、「AK-100は50年後でも名銃として残るだろう・・・だが、M16にはそこまでの”命”はない」と言い放ちます。
ゴルゴは、ナイフでカラジニコフを瞬殺。(何も殺さなくても・・・実在のカラシニコフ氏は2013年没ですから、作品の発表された2002年には、まだピンピンされているんですよ!)
死に逝くカラジニコフに冥土の土産とばかりに、ゴルゴは彼の疑問に答えます。
カラジニコフは自分の命と替えて、ゴルゴの秘密を手に入れたのでした。
とはいえ現在、M16を基に口径はそのままに弾を重くし狙撃銃としたMk 12 SPR (Special Purpose Rifle)が特殊部隊などで使われております。瓢箪から駒、とはまさにこのことかもしれません。いや、ようやく時代がゴルゴに追いついた、と言うべきでしょうか。
Younger T氏による解説「AKはその命中精度を、M-16はその耐久性を過小評価されている」とは誰が言ったか。実際どちらの銃も軍用として使われ続けている歴史がありますし、巷間噂されるような酷い性能ではありません。 ここではアーマーライトに話題を絞ります。ロッキングラグの形状を見ますと「こりゃ確かに砂や埃を咬んだら動かなくなりそうだぞ」と思えますが、どんな銃でも使用後の手入れを怠れば動作不良を起こすのは自明の理。ボルトを外してキャブクリーナーで煤を落とし、オイルをスプレーすることで一応の清掃が完了しますからゴルゴみたいにタイヤ外して圧搾空気を吹付けなくても大丈夫です、きっと。それとオイルによる砂の付着が銃の作動性を低下させるという話ですが、それはその通りです。異物が噛む訳ですから。しかし砂漠地帯でもオイルを適正量使用して分解結合を行った銃の作動性は良好で、砂塵の影響は左程ではなかったという米軍のレポートを何処かで読んだような気が(機械ですけど軍用ですし、多少のことは大丈夫! なのでしょう、きっと)…… ついでに言いますと、AKも生産国によってクオリティが大分異なるのは有名な話。トリガースプリングを二重の鋼線で撚ってあるのも「鋼線一本切れても、もう一本折れてないなら取り敢えず撃てる!」的な発想だとか。 それにゴルゴは作品中でガンスミスに細かく指示を出しワンオフで銃の製作を依頼することも少なくありません。確実に動いて必ず当たる、ゴルゴなりのノウハウが詰まったオーダーなのでしょうね。しかし現実世界ではAR-15のレシーバーを長くして7.62mm口径化したSR-25(AR-10に先祖返りしたみたいですね)、ラプア弾使用狙撃銃、50口径の各種狙撃銃など「弾が重くて長距離を狙える」モデルにシフトしている様です。 実際に使ってみてどうなの?と言われますと、エアソフトガンやモデルガンで一連の操作を行ってみれば即座に分かることですが、M16(昨今はM4が主流ですね)は圧倒的に使い易いのです! エアガンではAK派の筆者も認めざるを得ません、これは大きなアドバンテージです。それにベトナム戦争以来ずっとM16のレバーやボタンの配置に慣れた兵士にとって、同じ操作性の銃であれば慣熟するのに時間は左程必要とせず安心して使用出来ることでしょう。 命中精度はどうでしょうか? それは筆者が敬愛して止まないRonald Lee Ermey氏の動画をご覧ください。この方はグロックの広報もしてましたね、そういえば。 ガニー軍曹のミリタリー大百科 of “Jelly Donut” scene in Full Metal Jacket (I am a Jelly Donut) John F. Kennedy – 26 June 1963 |
M16A1の操作と予防的メンテナンス1965年よりベトナムに実戦配備されたM16は、当初、様々なトラブルで最前線の兵士を悩ませ、欠陥品ではないかと政府議会で追及されるなど物議を醸したことはよく知られた事実です。 その中でも最も深刻な問題となったのは、頻繁に起きるフィーディングジャム(装弾不良)で、これはボルト(遊底)部への火薬カスの堆積が原因で、銃内部の定期的な清掃で回避できるものでした。 高性能ゆえ繊細な内部機構を持つM16にとって、メンテナンスこそ性能維持の生命線でありましたが、未来的フォルムを持つ新鋭銃に対してメンテナンスフリーと誤解する向きもあって、現場で適切な対応がなされていなかったのです。 敵銃(AK-47)を使う兵士もいました 1967年には、ベトナムでの「戦訓」をフィードバックしたM16A1にバージョンアップされた際、専用クリーニングキットも設定され、大量配布されています。キットにはコミック形式のマニュアルが同梱されていました。
以下にその内容をご紹介します。 「可愛い子ちゃんの脱がせ方。君の彼女のすべてを知って、優しく脱がせてやってくれ」 「ジャムったら何をすべきか。頭をクールに、だが行動は迅速に」 [1968年版との違い] 驚くべきことに1968年版にあった「フォワードアシストを叩け」という表記(上画像赤枠部)が、1969年版では無くなっています。(フォワードアシストの機能自体は廃止されていません)
改訂時の削除意図は不明ですが、上記経緯と関連しているのかもしれません。 「ベテランからのアドバイス。とにかく各部の点検、1日3回から5回は清掃しよう」 可愛い「16」に対する小技集 [1968年版との違い] 1968年版にあった6つの小技のうち、上記赤枠の2つ(鉄製マガジンはジャムを引き起こしやすいので使わない、ファイアリングピン・リテイニングピンは新型に替える)が削除され、代わりに1969年版には、銃携行時は「ネグリジェ」を着せること、という記事が1ページに渡って載せられています。 クリーニングツールとその使い方 [1968年版との違い] 1968年版にあった「ファイアリングピン・リテイニングピン」に関する記述と「キャリアにある2つのボルトは触らない」という記述は1969年版では無くなり、1969年版には、新たに「銃床にある水抜き穴を清掃せよ」という記述が追加されています。 給油ガイド。M16専用オイルである LSA は Lube Oil, Semi-fluid, Automatic-weapons の略。 「撃つ前に水を抜け!」 [1968年版との違い] 両年版とも全く同じ内容(銃の水抜きの仕方)ですが、レイアウト・デザインが異なっています。 マガジンの扱い方。な、なんと!マガジンを「マギー」と、ゆるキャラ化!アメコミのトレンドは50年先を行っていました。 「車両ホルダー」と新しく出た「ショーティ」について。ショーティこと「XM177E2」は、歩兵用M16A1の銃身を11.5インチまで切り詰め、カービン(騎兵用銃)としたもの。結局、制式採用にならず、Mから始まる名称は与えられませんでした。 「なぜM16を清掃したり、注油したりするのかって?命がかかってるからさ!」 |
M18 – ベトナム軍によってカスタマイズされたM16
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