ベベルエンジンの腰下組立の過程をご紹介します。
組立済のトランスミッション一式(インプットシャフト、アウトプットシャフト、シフトドラム、キックアームシャフト)をケースに取り付けます。
キックアームの中はこうなっています。もはや構造を見る機会も少なくなりました。あ、オフ車に健在でしたか(SRも)!
クランクシャフトのインストール。(クランクシャフトとクランクケース間のセンター位置出しは済ませてあります)
ここまで組んだらエンジンハンガーに載せ、補器を取り付けていきます。
クランクケース4態、上・下・左・右。
ベベルギアの歯当たり調整
腰下組立のメインイベントですね。MHR以前の2気筒ドカが「ベベル」と呼ばれている由縁がここにあります。
下側ベベルギアケースの組立。
下側ギアケースは、クランクケースのこの個所に取り付けられます・。
傘歯車(ベベルギア)のみならず、ギアの組立で肝心なのはギア間のクリアランス(バックラッシュ、歯当たり)の調整です。
取り付けた横回転のギアを下側ギアケースを外して上から見たところ。
両ギアのクリアランス調整は、厚さの異なるベース・ガスケットとスラスト・シムを入れ替えることで行います。何種類かの組み合わせを試し、ベストなクリアランスを見つけ出すのが仕事です。
ギアカバーを本組みする前に、所定の位置にオイルポンプギアを差し込んでおきます。
さらに古いベベル(俗にいうラウンドケースモデル)では下側ベベルギア部は画像のようになっています。すべての動力の伝達がベベルギアで行われており、さらにポイント点火を制御するカムシャフトが前後バンク間という、なかなかすごい位置に鎮座ましましています。
上の設計は、シングルシリンダーエンジンに源流があることが見受けられます。(ただしシングルのポイント点火用ローターはクランクシャフト端部というごくごく常識的な場所に付けられています)
ギアカバーを取り付けた後、
オルタネータ・インナーローターをクランクシャフト端部に取り付けます。
当店では、オルタネータ・インナーローターは対策部品に替えています。左がオリジナル部品ですが、マグネットの剥離のトラブルを抱えています。
専用工具でインナーローターを固定し、適正トルクでナットを締めこみます。
オイルポンプギアの本組みですが、画像のワッシャーは現在、純正パーツとしては欠品なのですが、当店では独自に新規製作したものを使っています。(ご入用の方はお問い合わせください)
ここまで組立てたら、腰下はひとまず完成です。残りの補器やエンジンケースカバーは、クランクケースにシリンダー&ヘッドと結合した後、エンジンをフレームに積んでから行います。